ストリートチルドレン

ストリートチルドレンを考える会
…子どもたちの未来のために……
Contents..




« 2008年8月発行のニュースレターより |メイン | ニュ ースレターの発行作業を手伝って下さいませんか? »

2008年9月発行のニュースレターより

NGO「国際子ども権利センター」主催 子どもの権利条約講座第2回
エイズと薬物の被害を受けるカンボジアと世界の子どもたち
〜工藤律子さんのお話を聞いて〜

会員・米澤 忠義
「自己肯定感」。律子さんの講演をききながら、何度もこの言葉の持つ意味の深さについて考えさせられた。講演の中で、それは「何らかの形で、自分は大切な存在なんだ、生きている意味があるんだ、何かをやる力があるんだ、という気持ちが持てること」だと表現された。路上で生活している子どもには、こうした自己肯定感があまりないというが、その自己肯定感をもって生きている子どもや大人は世の中にどれくらいいるだろうか。
カンボジアでは、1990年代、内戦の終結によってUNTACの統治とともに国の復興が始まり、同時に、路上で生活する人が増え始めたといわれている。特に、性産業が急成長し、性的目的のために子どもが人身売買された。カンボジアは隣国からの受け入れ・送り出し・経由と、国境を越えた人身売買に関わることになった。また、性的搾取に巻き込まれた女性は、現実逃避や仕事を続けるために薬物を乱用し、依存症に悩まされた。なかには、HIVに感染する女性もいた。こうしたカンボジアで起こる問題の背景には、貧困と教育を受ける機会の欠如や低い女性の地位などがあるということを、講演を通して学んだ。
カンボジアで見られる薬物・エイズ・人身売買との闘いは、私が「メキシコ・出会う旅」で見てきたメキシコ社会にも存在するが、社会事情が異なるため、講演を聞いていると、カンボジアでの闘いの方がより深刻に思えてきた。特に驚かされたのは、メキシコの路上でよく見られる、芸をしたり、物乞いをしたりする子どもが、カンボジアでは特定の場所以外でほとんどみかけないということだ。その反面、ゴミ集積場で、ゴミの中からリサイクルできそうな物を探している子どもやおとなの姿はたくさんある。よくテレビでそんな光景を見てきたが、事態は私が思っていた以上に深刻だった。カンボジアは社会全体がまだまだ他国に比べて、経済的に非常に貧しい。
その社会で生きる子どもたちに何とか教育を受けてほしいと、私は願うようになった。子どもたちには、好奇心に満ちた生き生きとした目を持ってほしいのである。将来何になりたいと尋ねれば、「学校の先生になりたい」、「患っている人を助けるために医師になりたい」、「お金を貯めて両親に楽をさせてあげたい」、 そういった誰もが描くごく普通の夢を抱くことができる子どもたちが増えるように、第一歩を踏み出したいと考えている。
 今のカンボジアでは、人口の約30%が1日1ドル以下の生活を送っている。そのため、子どもを学校へ行かせようと思う親はほとんどいないといわれている。大学まで通わせる余裕もなく、それなら小学校へ行かせても役に立たないと考え、学校をやめさせ、家の手伝いや出稼ぎに行かせようとするのである。こうした環境で育つ子どもたちは、自分の将来をどのように見るのだろうか。世の中のことがわからなければ、夢を見ることもできないだろう。
生きていく上で、学ぶことはとても大切であると思う。学校で学ぶ教科だけでなく、ありとあらゆることを見て、感じて、経験する。その中から、自分が知ることの喜びを味わい、楽しさを発見する。その喜びと楽しみのおかげで自ら生きようとする。勇気と自信が沸いてくる。さらに、家族とともに生きる安らぎに満たされるとき、友人を思いやる心が育まれる。
これは何もカンボジアの子どもたちだけにいえることではない。私たち一人ひとりにもいえることだと思う。現実を知り、学ぶ。互いの世界を理解する。律子さんがいつも言われるように、私たちも子どもたちから学び、支えられて生きている。その中で、お互いに、自分は大切な存在なんだ、生きている意味があるんだ、何かをやる力があるんだ、という気持ちが自然とわいてきて、人生を前向きに生きていくことができると思った。友人として寄り添うことができると思う。
学ぶということで、まず律子さんの新書『子どもたちに寄り添う〜カンボジア・薬物、エイズ、人身売買との闘い』を読むことを提案したい。この本を通して新たな発見をし、子どもたちから学び、支えられ、友人として寄り添うためにできることが見つかるかも知れない。  (よねざわ ただよし・教師)

検索
Recent Posts
Archives
Categories

※私たちの会は、スタッフそれぞれが自分の仕事を持つ、有給スタッフのいないボランティア団体です。お電話による漠然とした質問や、たくさんの質問すべてにお答えすることは出来ません。その点、ご了解ください。

TOPページへ
 〒112-0001 東京都文京区白山3-4-15内田ハウス1F JULA出版局内
 (C) CHILDREN FUTURE NETWORK All Rights Reserved.
 Photo (C) Yuji Shinoda ☆フェアトレード・オーガニックからストリートチルドレンや児童労働について考えてみませんか☆