ストリートチルドレンを考える会
…子どもたちの未来のために……
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2008年10月

2008年10月20日

2008年8月発行のニュースレターより

エセナフォーラム2008参加 ワークショップ
子どもが子どもらしく生きられるために 
〜「ストリートチルドレン」を取り巻く世界〜
 

会員・江越 千尋
 私は今回の、エセナおおたでのワークショップで、初めて会の活動に参加させていただきました。
 このワークショップは、1部のメキシコやカンボジアの写真をもとに、そこから読み取ることができる事柄について参加者の方々と意見を交わす「フォトランゲージ」と、2部のボランティア経験者による体験談という、2部構成になっていました。
 私は、1部でのフォトランゲージの中で、薬物についての写真を取り扱うチームに参加しました。2枚の写真のうち、1枚はまさに注射器で覚醒剤を使用している生々しいもので、とても衝撃を受けたのを覚えています。
 全部で6チームに分かれ、それぞれ、異なる観点から、ストリートチルドレンを取り巻く環境についてのフォトランゲージを行いました。
 このワークショップの企画・実施者である私たちは、打ち合わせの段階から何度もシミュレーションをし、お互いに良い点、悪い点を出し合い、議論を重ねていました。約3ヶ月という短い間ではありましたが、チームとして、とても一体感があったように思います。学生も多く、忙しい中で、より良いワークショップにするため、練習にたくさんの時間を費やしました。
 当日は、思いのほか来場者が少なくて6チームへ割り振る人数がおらず、残念ながらNGOチームと政府チームの発表ができませんでした。その2チームの方々には参加者として入ってもらい、4チームでフォトランゲージを行いました。
 私のチームには、エセナのスタッフの方と、会員1名に参加していただき、ストリートチルドレンが薬物に侵されている現状等についての意見を伺いました。実際に参加者の方とお話をして、今までシミュレーションをしてきたのとは違った着眼点があることに気づかされました。また、私の知らない海外でのお話も伺うことができ、勉強になりました。身近な体験談なども話題に上がりました。
 全体でシェアをした際、男性でストリートチルドレン問題に興味を持つ人が少ないという、ふとした疑問も出てきました。また、印象的だったのは、アフリカへ援助に行った経験のある方の、「格差すらない程の貧しさばかり残る地域が、世界にはまだある」という発言でした。社会に格差があることが問題で、富裕層は何をするべきなのか、を考えていましたが、(もちろん隣国との関係などの中に、格差は存在するのですが)社会の中でその格差をみることすらないほど貧しい地域があることに、驚きを覚えました。
 2部では、実際にメキシコやフィリピンへ行った方々の、具体的な体験談をお話いただきました。ストリートチルドレンと直に接するというと、すごいことのように思えていましたが、彼らは私たちとも同世代で、普通の子どもと何も変わらないのだとおっしゃるのを聞き、わずかながら身近に感じることができました。
 私は、今年メキシコに1年間留学する機会をいただきました。現在、世界的に物価高になり、米の値段さえも高騰してしまい、食糧難などでストリートチルドレン、ストリートファミリーが増加傾向にあるそうです。そんな中で、何ができるかもわかりませんが、精一杯、できることをしてきたいと思っております。
 全体を通して、初めてのことだらけで、日々たくさんの発見があり、とても興味深い体験でした。私は薬物という、とても重いテーマを扱っており、調べていくうちに自分自身どうしていくべきなのか、揺らいでしまう時期もありました。今振り返ると、そういった迷いもまた必要なのではないかと感じます。
 最後に、運営委員の方がおっしゃった、「(路上の)彼らは笑顔だけど、親元にいて、愛情を受けることで、もっと良い笑顔ができるのではないか?」という言葉が心に残っています。今後活動していくことで、彼らストリートチルドレンたちの、本当の笑顔が見ることができれば良いと思っております。
    
★エセナ第1部の感想  会員・岡田 千春・大学生 
 第1部では、「ストリートチルドレン」を取り巻く世界について一緒に考えていただくために、参加者一人ひとりに意見を出してもらうフォトランゲージを行いました。
 
 私たちは事前に、ストリートチルドレンの生活、薬物、NGO、政府、先進国・観光客、社会というテーマ別に分かれ、調査しました。当日は、参加者に一番興味のあるテーマを選んでいただき、テーマごとにグループに分かれて、30分間フォトランゲージを行いました。私は、この日の参加人数が少なかったために、実際にプレゼンターとしてフォトランゲージを参加者の前で行うことはできませんでしたが、参加者側の一人として関わりました。
 ワークショップのプレゼンターとしてフォトランゲージの練習をしたことを通して、人に伝えることの難しさを知りました。フォトランゲージは参加してくれる方々の意見が聞ける半面、どのような意見が出るか予測がつかないという難しさがあります。自分の知識を伝えるだけでなく、参加者とのコミュニケーションを通して、自分も改めて学んでいくという発見がありました。また参加者としても、フォトランゲージでは発言の機会が与えられるため、一生懸命に聞き、考えることができました。
 当日のフォトランゲージでは、はじめに写真を見て、そこから読み取れることに関して、簡単な質問を参加者にしていきます。私は薬物のグループのフォトランゲージに参加しましたが、このグールプではメキシコのストリートチルドレンたちの間で、薬物が乱用されている現状を考えていきました。ストリートチルドレンだけでなく、どんな子どもたちにもおとなの愛情、特に親の愛情が非常に必要であることを、「ストリートチルドレン」について調査していく中で知ることができました。
 私は今月から一年間、メキシコのメキシコシティに留学します。語学習得目的もありますが、会やエセナでのワークショップを通して学んだことを生かし、実際に子どもたちに少しでも関わりたいという思いがあります。向こうで自分ができることを考え、行動したいと思っています。

★エセナ第2部の感想  会員・釜澤 知子・大学生
 第2部では、実際に「ストリートチルドレン」のいる国に行き、彼らと触れ合ってきた会員が、それぞれ自分の体験や想いを語りました。
 最初は、メキシコシティでNGO「カサ・アリアンサ・メヒコ」のエイズ問題に対する活動や、日本のホームレス問題に対する活動にも参加して、自身のフィールドを広げている宮田真理子さんのお話でした。「ホームレスを見て見ない振りをしていた自分は、ストリートチルドレンを無視していたメキシコの人と一緒だった」という言葉は、まさにその通りの私にとって、心に刺さるものがありました。自分の国の問題にも目を向けて、それに対しても真剣に取り組んでいる宮田さんのお話からは、足元をみる大切さと社会問題に対する視野を広げることを学びました。
 メキシコ中流階層の家族のお宅へホームステイした池田弥歌子さんの話では、私が“お金持ち”の人々を、ある意味で差別していたのだと気づかされました。何も知らないまま彼らを社会問題に参加しない非情な人々だと決めつけ、二項対立にすることで、この問題を捉えていたと思います。本当はもっと深い所で根が絡み合った問題なのだと、改めて思いました。善悪を問う前に、無知ということが残酷だ、とも感じました。
 次に登場したのは村井彩子さん。会の「出会う旅」に参加してみえた「ストリートチルドレン」とエデュケイターの姿を、様々な角度から話してくれました。大学の先輩でもある村井さんは、この時「私たちは彼らの傷に対して、環境に対して何もできることがない。でも、私たちにはもっと多くの人に知らせることができる」と語っていました。そして数週間後、彼女が大学でチャリティーラテンイベント(「ノチェ・ラティーナ」。詳しい報告は次号で)を大成功させたことは、何かを伝えたいと思う人の力と、動き出せば現実を変えていくことはできるのだという希望を、私に与えてくれました。
 小口由貴さんからは、フィリピンにおける「ストリートチルドレン」に関するお話がありました。「家はなくても家族はつながっている。居場所があるという幸せは大きい」、「ストリートチルドレンの状況には、物質的なものよりも精神的なものが作用している」といった分析は、今日の日本における問題にもつながると思いました。愛されることの大切さを感じました。
 最後に、メキシコシティでフィールドワークを行っている大学院生・小松仁美さんがお話されました。「同じ世界で自分らしく生きられない、居心地悪く生きている人がいる。困ったときに手を差し伸べてもらえない、手を差し伸べられない現実がある。
 こんな世の中でいいのだろうか?」という問いかけがありました。どうにかしたい気持ちと、知識不足な自分との差が大きすぎて、答えを出せませんでした。まだ「ストリートチルドレン」のいる国に行ったことがない私にとって、現状を見てきた彼女たちの話は興味深いだけでなく、情報だけで知ったつもりになっていたことを反省する機会にもなりました。また、参加者に感想を聞いていたときに、大学生の廻田さんが、イラク戦争をきっかけに世界について考え始め、「ストリートチルドレン」を調べるようになったとおっしゃっていました。同じ歳の私も、このような問題に関心をもつようになったきっかけは、イラク戦争でした。同じ時代を生き、この世界を見つめていく、異なる地で同じことを考えてきた仲間が集ってくる「ストリートチルドレンを考える会」は、とても面白く刺激的で、入ってよかったと思いました。
 縁あって、私はこの夏からメキシコに留学することになりました。この会で教わったことを胸に、初めて見る新しい世界を十分に堪能し、しっかりと現実を見てきたいと思います。
         

Posted by at 11:39

2008年9月発行のニュースレターより

NGO「国際子ども権利センター」主催 子どもの権利条約講座第2回
エイズと薬物の被害を受けるカンボジアと世界の子どもたち
〜工藤律子さんのお話を聞いて〜

会員・米澤 忠義
「自己肯定感」。律子さんの講演をききながら、何度もこの言葉の持つ意味の深さについて考えさせられた。講演の中で、それは「何らかの形で、自分は大切な存在なんだ、生きている意味があるんだ、何かをやる力があるんだ、という気持ちが持てること」だと表現された。路上で生活している子どもには、こうした自己肯定感があまりないというが、その自己肯定感をもって生きている子どもや大人は世の中にどれくらいいるだろうか。
カンボジアでは、1990年代、内戦の終結によってUNTACの統治とともに国の復興が始まり、同時に、路上で生活する人が増え始めたといわれている。特に、性産業が急成長し、性的目的のために子どもが人身売買された。カンボジアは隣国からの受け入れ・送り出し・経由と、国境を越えた人身売買に関わることになった。また、性的搾取に巻き込まれた女性は、現実逃避や仕事を続けるために薬物を乱用し、依存症に悩まされた。なかには、HIVに感染する女性もいた。こうしたカンボジアで起こる問題の背景には、貧困と教育を受ける機会の欠如や低い女性の地位などがあるということを、講演を通して学んだ。
カンボジアで見られる薬物・エイズ・人身売買との闘いは、私が「メキシコ・出会う旅」で見てきたメキシコ社会にも存在するが、社会事情が異なるため、講演を聞いていると、カンボジアでの闘いの方がより深刻に思えてきた。特に驚かされたのは、メキシコの路上でよく見られる、芸をしたり、物乞いをしたりする子どもが、カンボジアでは特定の場所以外でほとんどみかけないということだ。その反面、ゴミ集積場で、ゴミの中からリサイクルできそうな物を探している子どもやおとなの姿はたくさんある。よくテレビでそんな光景を見てきたが、事態は私が思っていた以上に深刻だった。カンボジアは社会全体がまだまだ他国に比べて、経済的に非常に貧しい。
その社会で生きる子どもたちに何とか教育を受けてほしいと、私は願うようになった。子どもたちには、好奇心に満ちた生き生きとした目を持ってほしいのである。将来何になりたいと尋ねれば、「学校の先生になりたい」、「患っている人を助けるために医師になりたい」、「お金を貯めて両親に楽をさせてあげたい」、 そういった誰もが描くごく普通の夢を抱くことができる子どもたちが増えるように、第一歩を踏み出したいと考えている。
 今のカンボジアでは、人口の約30%が1日1ドル以下の生活を送っている。そのため、子どもを学校へ行かせようと思う親はほとんどいないといわれている。大学まで通わせる余裕もなく、それなら小学校へ行かせても役に立たないと考え、学校をやめさせ、家の手伝いや出稼ぎに行かせようとするのである。こうした環境で育つ子どもたちは、自分の将来をどのように見るのだろうか。世の中のことがわからなければ、夢を見ることもできないだろう。
生きていく上で、学ぶことはとても大切であると思う。学校で学ぶ教科だけでなく、ありとあらゆることを見て、感じて、経験する。その中から、自分が知ることの喜びを味わい、楽しさを発見する。その喜びと楽しみのおかげで自ら生きようとする。勇気と自信が沸いてくる。さらに、家族とともに生きる安らぎに満たされるとき、友人を思いやる心が育まれる。
これは何もカンボジアの子どもたちだけにいえることではない。私たち一人ひとりにもいえることだと思う。現実を知り、学ぶ。互いの世界を理解する。律子さんがいつも言われるように、私たちも子どもたちから学び、支えられて生きている。その中で、お互いに、自分は大切な存在なんだ、生きている意味があるんだ、何かをやる力があるんだ、という気持ちが自然とわいてきて、人生を前向きに生きていくことができると思った。友人として寄り添うことができると思う。
学ぶということで、まず律子さんの新書『子どもたちに寄り添う〜カンボジア・薬物、エイズ、人身売買との闘い』を読むことを提案したい。この本を通して新たな発見をし、子どもたちから学び、支えられ、友人として寄り添うためにできることが見つかるかも知れない。  (よねざわ ただよし・教師)

Posted by at 11:40

2008年10月21日

ニュ ースレターの発行作業を手伝って下さいませんか?

日時 12月9日(火) 午後5時半頃から7時半頃まで
場所 豊島区高田2-6-7「日本ジャーナリスト専門学校」本校舎1階JULA出版局(高田馬場駅より徒歩約13分)

 私たちの会では、毎月、運営委員会と同じ日に、会員のみなさんに送るニュースレターの印刷と発送作業を、運営委員がボランティアでおこなっています。
 すべて手作業なので、少しでも多くの方が手伝って下さると助かります。また、作業をしながらの雑談で、会員やみなさんとの交流も深まると思います。
 時間の都合がつく方、私たちと話してみたいと思われる方、手伝おう!という方、ぜひおいで下さい。作業は2時間ほどです。もちろん途中から来ていただいてもかまいません。

会員でなくても、大歓迎です。

詳しくは、こちらへお問い合わせ下さい。

Posted by at 10:57

2008年10月26日

今日は!講演会「ストリートチルドレン」in関西

「ストリートチルドレン」と呼ばれる子どもたちの現実を、当会共同代表の工藤律子が語ります。ストリートチルドレンとはどんな子どもたちなのか、どんな暮らしをしているのか、どんな問題を抱えて路上に暮らしているのか、どんな支援が必要とされ、行われているのか。子どもたちの置かれている現実の世界に、触れてみませんか。

講 師  工藤律子(ジャーナリスト)
日 時  11月15日(土) 
       開場 12時
       講演 13時〜15時半
場 所  神戸市外国語大学 
     第二学舎502号室          
    (神戸市営地下鉄
     「学園都市」駅より徒歩3分)
参加費   無料
主 催   Sueños(スエニョス)


★この講演会は、「ストリートチルドレンを考える会・関西ネットワーク」のメンバーと、彼らの呼びかけに応じた神戸市外大の学生がつくるサークル「Sueños」が企画し、同サークルが主催しています。誰でも参加できますので、関西方面にお住まいのみなさんはお誘い合わせの上、ぜひご来場ください。講演後、質疑応答の時間もあります。

Posted by at 11:06

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 Photo (C) Yuji Shinoda ☆フェアトレード・オーガニックからストリートチルドレンや児童労働について考えてみませんか☆