ストリートチルドレンを考える会
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2007年09月

2007年09月12日

2007年9月発行のニュースレターより

メキシコの窓から
〜NGO「カサ・ダヤ」訪問報告〜

白水 與子(日本メキシコ学院日本コース教員) 
 日本人学校の教員として、ここメキシコシティでの生活が始まり早一年が過ぎた。とはいえ、自家用車での通勤が義務付けられている中では生活経験の幅も狭く、この国がもつ多様な顔のほんの一部にしかまだ出会えていない。スクールバスや家庭の送り迎えで通学している子ども達の生活も、我々とさほど大きくは変わらない。そのような生活をしている中学部の生徒と教員が、毎年一回「カサ・ダヤ」を訪問する機会がある。しかし、教員もおおよそ三年毎に入れ替わる中、しっかりとした知識に基づいての事前学習はなかなか難しい状況にあり、毎年続いているこの行事を実りあるものにするためにはどうすればよいかと思いあぐねていた。
 そんな矢先、学校の図書室で工藤律子さんの著書に出会った。今、自分が暮らしているメキシコのとても大切で重要な一面、普段は信号待ちやバスターミナルでしか出会うことのないストリートチルドレン達の姿がそこにはあった。きっと何かの縁がありこのメキシコシティーで生活し仕事をしている自分、何ができるかはわからないが何かをしたい、そんな衝動にかられ工藤さんにメールを送ったところ、すぐに返信をいただいた。それは、我々のカサ・ダヤ訪問に対して出来る限りの援助を、という実に温かくありがたい内容のものだった。
 早速、ここメキシコシティで一年間の交換留学中、カサ・ダヤに毎週泊まり込みでボランティアに通われているというこの会のメンバー、三井由香さんを紹介していただき、本校での事前学習をお願いするという運びとなった。帰国前のお忙しい時期であったにもかかわらず快諾してくださった三井さんは、とても朗らかな、そしてメキシコの社会情勢をしっかりとご自分の中に捉えていらっしゃる素敵な学生さん。7月5日の午後一時間余り、中学部生徒38名と我々職員に、ご自身の経験を、ご自身の言葉で、心からほとばしるようなメッセージを発信してくださった。
 この事前学習を踏まえ、翌週の土曜日にカサ・ダヤ訪問に臨んだ生徒達。訪問後、三井さんに書いたお礼状の一部をここに紹介させていただき、工藤さん、三井さんをはじめ日本で活動されている皆様に、感謝の気持ちとメキシコの空気をお届けしたい。
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みんなでビーズのネックレスを作った

 この前、三井さんが、カサ・ダヤの一日の暮らしの様子やストリートチルドレンについてお話をしてくださったので、どのような人達がカサ・ダヤで生活しているのかがわかりました。生活していくうえでの規則が厳しいことや、一人ひとりにつらい過去があったりすることを聞いてからカサ・ダヤに行ったので、すごく良い事前学習になりました。カサ・ダヤの人達のためにも、メキシコの人達のためにもがんばっている三井さん、この前はありがとうございました。(中二 女子)
                              
 私はカサ・ダヤへ行ったのは二回目です。でも、詳しい説明を聞いたのは初めてでした。だから、今回は去年と全然違うように感じました。カサ・ダヤにいる人達の年齢、状況、どんな人達なのか・・・。予想外のことがたくさんありました。12歳の母親がいるということには、とてもびっくりしました。私よりも年下で、もう子どもがいるのはすごいことですが、とてもかわいそうだとも思いました。みんな、とてもつらい思いをしてきたのだと思います。私は何が手伝えるかな、と思いました。(中二 女子)

 カサ・ダヤに行く前には、正直なんでそんなところに行くのだろう、と思っていました。でも、三井先生の話を聞いて特別な事情があることを知り、実際にカサ・ダヤに行って本当に僕たちとまだ大して年齢が離れていない人達なんだということを知り、このような環境を少しでもいいから改善していく努力をメキシコだけでなく世界中の人達がみんなでしていかなければいけないと思いました。(中一 男子)
             
 僕はスペイン語がよくわからないけれど、子ども達と身振り手振りを通じて一緒に遊びました。本当にかわいい子達ばかりで、「こんな幼い子がどうしてこんな環境にいなければならないのだろう?」と、遊んでいてふと思いました。でも、子ども達も大人達も懸命に生きていることをこの肌で感じました。三井さんの話を聞いてカサ・ダヤに行き、「ダヤは大切な施設だけれど、別の意味ではあってはいけないものなんだなあ」と思いました。(中二 男子)
                                      
 三井さんの説明を聞いて、カサ・ダヤの名前の由来、日常生活、そしてなぜここに暮らしているのか、というすべての疑問が疑問じゃなくなりました。また来年、たくさん交流してたくさん学んでいきたいと思います。三井さんのお話を聞いて、本当によかったと思いました。若い人達が早いうちから赤ちゃんを産んで、道路に住まないようにするにはどうすればいいかを考えていきたいです。(中二 女子)
              
 今まで福祉やボランティアには全く興味がなく、ストリートチルドレンのことなど知らなかった私は、三井さんのお話を聞いてびっくりし、とても勉強になりました。当日はスペイン語の授業でしか話したことのないスペイン語を少しでも話すことができ、明るく元気な子ども達と楽しく過ごすことができました。今は「またボランティアをしたい」という気持ちです。「カサ・ダヤの子達はかわいそう」と思っていたのはまちがいで、みんな明るくて元気でした。メキシコのストリートチルドレンは増えていると聞き、この問題をメキシコから取り除くことが第一の課題だと思います。来年は、今年よりもずっといいボランティアにしたいとあらためて思いました。(中一 女子)

 私は、カサ・ダヤという施設があることは、メキシコにとってプラスになると思っていました。しかし現実は、何十年も問題が解決されていないことを訴えている建物でもありました。カサ・ダヤがなくならないさまざまな原因。一つ一つをすべての人が納得のいく結果にすることはとても難しい事だと思う。だからその分、私達が、今できることを精一杯やっていかなければいけないと思います。(中二 女子)
                            
(しろみず よしこ)

Posted by at 16:19

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