ストリートチルドレン

ストリートチルドレンを考える会
…子どもたちの未来のために……
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2008年6月発行のニュースレターより

学習会・子どもは未来の開拓者
〜キューバの子どもたち〜 に参加して
運営委員リーダー・小口由貴

 工藤律子さんよる「キューバの子どもたち」をテーマにした学習会に参加した。これは、キューバとの交流活動を進めている「キューバ連帯の会」という市民団体が、今月14日がキューバ革命の英雄で革命家のチェ・ゲバラの生誕80年であることを記念して、開いたものだ。当日は、キューバ大使館の方を含め、20代から60代前後まで、幅広い年齢層の方々が35名ほど集まった。
 会では、工藤さんから、キューバ政府や国民全体が子どもを大切にする姿勢など、いろいろな角度からの報告を聞き、これからの日本の子ども=未来のパイオニアを、どのように育てていくべきなのか、考えさせられた。
 工藤さんのお話やパワーポイントで投影された篠田さんのすてきな写真を通して知ったキューバの子どもたちは、とても生き生きしているような感じがした。数字を気にしすぎて疲れきっている教師や子どもが多いように感じる日本と比較すると、ちょっとうらやましくも思った。
 工藤さんの書籍「子どもは未来の開拓者〜ストリートチルドレンのいない国キューバ」やニュースレターに掲載された去年のキューバツアー参加者の感想文を読まれた方はすでにご存知だと思うが、キューバではすべての子どもに対して教育が保障され、しかも保育園から大学まで、無料で通うことができる。そのほかに、小学校高学年から中学生には、彼ら独自の「パイオニア組織」を通して、「社会参加」の機会も与えられるそうだ。
 子どもは学校へ行って各教科の勉強をすることはもちろん、様々な社会の活動に参加することによって、労働することの大切さや、自分も社会や国に貢献できるということを学んでいるという。子どものうちからこのような「社会参加」の機会があると、おとなになったときに、より一層、社会の一員として適応しやすく、そうした機会があることはとても良いことだと思った。
 また、お話の中で工藤さんは、近年は経済のグローバル化が進むなか、ひとが持っているものを自分も持っていなくてはいけないと思い込まされ、周囲との比較にばかり神経を使い、物質的な豊かさばかり求めている社会があり、それを「心理的な貧困」に苦しむ社会と呼んでいた。(物質的な貧しさを、ひととの助け合いや心のつながりで乗り越えていこうという意欲や希望がある社会と違って、)物質的には例えば20年前よりもマシな暮らしをしているとしても、前述のような意識・思いこみのために「心理的な貧困」を抱える社会は、子どもにまで悪影響を及ぼし、子どもが路上生活を選ばざるをえないような状況を生みだしているという。そんな社会を持つ国々が多くあるなかで、キューバは、家族のつながりや地域の人々の力を非常に大切にしているようだ。私が工藤さんの話を通して感じたキューバの子どもたちの生き生きとした姿は、周りの人々の支えや人との絆があるおかげで可能なのではないかと思う。誰かの支えがある環境にいることで、子どもたちは安心して生活できるにちがいない。そういうコミュニティーが存在している国だからこそ、路上へ飛び出してしまう子どもがいないのだろう。
 無料の教育と医療が保障されているキューバの社会制度が、100パーセントいいものだとは思わないけれども、少なくともこれからの日本がキューバから学ぶべき点は多くあるように思う。
 私の知る限り、日本でも今、地域社会(ナナメの関係)を大事にしている杉並区の中学校があったり、机をコの字形に並べて「学びの共同体」と呼ばれる取り組みをしている学校があったりする。今後、これらの取り組みに期待したい。(このほかにも、子どもにとって良さそうな取り組みをしている事例をご存知の方がいたら、私も知りたいので、ぜひ教えてください。)
 幸いにも、今月29日には会主催で、昨秋実際にキューバへ行って来たメンバーの報告会がある。生の声が聞けるこういう場を通して、日本とキューバの違いやこれからの日本の子どもの未来について考えていけたらと思う。できれば、多くの方に参加してほしい。 *今秋のキューバを知る旅もお勧めです。
(こぐち ゆき・学生志望)

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