会が支援しているメキシコシティのNGOその1

 

★ NGO「社会サーカス・マチンクウェパ」★

 青少年が健やかに成長できるよう、地域や社会全体で様々な角度から支援を行なう団体「青少年センター(CEJUV)/1982年設立」から一昨年独立した新しいNGOこれまで「ストリートチルドレン」を支援するNGOで働いてきたスタッフが中心になって、「子どもたちが路上に出なくても済む家庭・地域・社会をつくるにはどうしたらよいか?」を考えて、始めた。

●活動内容

 貧困地域の子どもたちにサーカスを習う機会を提供することを通して、生活上困難の多い地域における住民の連帯と人間関係の緊密化、子どもの居場所づくり、自己と他者、双方を大切にできる人間の育成、子どもたちの積極的な社会参加を目指す。現在、メキシコシティ南西部にあるスラムと同地域の公立中学校で、サーカス教室を開いている。カナダを本拠地とする有名な社会サーカス団体「シルク・ドゥ・ソレイユ」が、定期的にスタッフへの技術指導をしている。

●連絡先

  Circo Social "Machincuepa " (Centro Juvenil)

   tel.52-55-5598-9241, 5598-4592

Invierno 17, esquina Juan Tinoco, Col. Merced Gomez, Mexico D.F.

 

*参考記事「子どもが子どもらしく生きられるために」

(「ちいさいなかま」2003年3月号より)

 ストリートチルドレンを支えるNGOで働くスタッフのなかには、その後、「ストリートチルドレンを生まないための活動」に転職する人もいる。NGO「青少年教育センター」で働くファン・カルロスさん(29歳)は、その一人だ。

 彼は5年前まで、あるNGOでストリートエデュケイターをしていた経験を生かし、今は貧困家庭の子どもたちが路上へ出ずにすむように、「予防策」を推進する活動に携わっている。

「スラムの子どもたちは、日々の生活だけで手一杯な親に放っておかれ、ひどいときにはストレスのはけ口にされて虐待を受ける。そんな環境にいたら路上へ逃げたくもなる。まずはその環境を変えなければ」

 そう話すファン・カルロスさんは、「サーカス・プロジェクト」を担当し、週2回、もう一人のスタッフと2つのスラムへ通い、5歳から20歳くらいまでの子どもや若者にサーカスを教えている。

 町営の体育館に集まった子どもたちは、ファン・カルロスさんたちの指示に従い、まず準備運動を行なう。それから年齢別に2つのグループに分かれ、でんぐり返り、ピラミッド、ジャグリング、一輪車、樽乗りなど、さまざまな芸を学んでいく。

 参加してまもない子は、みんなと新しいことをいっしょに学ぶことじたいに苦労する。公立学校は毎日わずか4時間しか授業がなく、あまりきびしくないため、学枚へ行っている子でも集団学習に慣れていないのだ。それに引きかえベテラン組はてきぱきしており、なかまの指導にも精を出す。その過程を通して「子どもたちのあいだになかま意識やリーダーを育て、自分たちで地域環境を改善していけるようにする」のも、活動目的の1つだ。子どもたちの親は、活動が定着するに従い、その意義を高く評価するようになってきた。

「娘(12歳)が通りをフラつかずにサーカスに夢中になってくれて、親としては安心です」

 ある母親はそう話す。女手一つで5人の子どもを育てる彼女は、昼間は高級住宅街へ通って家政婦として働いているため、留守のあいだ無料で子どもたちのめんどうをみてくれること自体がありがたいと言う。

 ファン・カルロスさんは、

「ここで活動を始めてからの2年間、父母とも懇談をくり返してきたから、信頼を得ることができたんだよ。今では家庭問題の相談役さ」

とほほえんだ。

 サーカスを通して、子どもたちは、家庭以外の居場所、親以外で頼れる先輩や大人を見つける。と同時に、集団で何かを達成することや、自分の未知の能力に気づくことの楽しさと意義を見いだす。それが、彼らに安心感と自信を与える。

 子どもが路上生活を選ぶ必要なく、子どもらしく生きられるようにするためには、まず大人同士が助けあい、信頼しあって、子どもたちが元気に安心して暮らせる環境を築かなければならない。

★NGO「ジョリア」★

 カトリック教・サレジオ会関係者が中心になって運営する団体。路上に生きる少女たちと、貧困地域(主に、施設周辺地域)の子どもたちと女性を支援する。会がずっと支援しているNGO「プロ・ニーニョス・デ・ラ・カジェ」に似た活動だが、より小規模で、かつ対象が“少女”“少女の子ども”“貧困地域の子どもと女性”であることが特徴だ。路上で暮らす子どもたちの間で少女の割合が増え、しかもシングルマザーが多くなっている近年、その活動の重要性が高まっている。

●活動内容

(1)路上訪問活動

 ストリートエデュケイターが午前中、ギター片手に路上の少女やシングルマザーを訪問。一緒にいる仲間の少年たちとも音楽を用いて交流しながら、少年少女たちとの友情を結び、少女たちの相談にのったり、デイセンターへ誘ったりする。

(2)デイセンター

 デイセンターを運営し、施設周辺の貧困家庭の子どもたちと路上の少女、その子どもに、昼間だけ、食事や入浴、学習支援、保育サービスを提供する。また、少女と貧困家庭の母親たちに、心理カウンセリングや、美容師などの職業訓練も実施している。施設の一角では、「美容室」を営業している。

(3)定住ホーム

 デイセンターから離れた山腹の住宅地域に、1か所運営。路上の少女たちが自立するまでの“家庭”を提供し、支えている。

●連絡先

Yolia, Ninas de la Calle, A.C.

tel. 52-55-5541-2715

Calle Jaime Torres Bodet 241 (entre E.Ancona y F.Magen)

Col.Santa Maria La Ribera, Mexico D.F. Mexico

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