初の試みのおもしろさと難しさ

 

                  

講演ツアー企画チームリーダー 工藤律子 

 メキシコシティで「ストリートチルドレン」のための活動を展開するNGOの中でも、恐らく今もっとも評価の高い団体である「プロ・ニーニョス・デ・ラ・カジェ」。そこから、若いけれどベテランのエデュケイター、「ナチョ」こと、イグナシオ・ペレスさんを迎え、4月16日から25日まで、講演ツアーを実施しました。

 テーマは、「路上の子どもに寄りそって」。NGOがどのような考えに基づき、どんな形で路上の子どもたちを支えているのかを、少しでも多くのみなさんに知っていただき、それをヒントに、私たち自身が子どもたちのためにできること、やるべきことを考えよう、というのが、この企画の意図でした。 

 私たちの会だけで複数の講演会を企画するのは難しいため、首都圏、大阪、広島と、各地の有志のみなさんにお手伝いをお願いしました。おかげで、計7か所で講演を開くことができました。ともに企画に携わってくださったみなさんには、心から感謝いたします。

 講演のメインスピーカーであるナチョと、彼の通訳と進行役をつとめる私は、3月にメキシコで打ち合わせをしました。各講演主催者のみなさんからいただいていたリクエスト「参加型の活動などもあるといい」「NGO全体のことだけでなく、ナチョさん自身の考えもききたい」をふまえ、なごやかな雰囲気で、「プロ・ニーニョス」のモットーでもある「指導する側も活動を楽しむ」という姿勢を大切にした内容を検討。その内容に沿って準備を進め、最後に日本で予行演習をしました。

 この講演ツアーについての会としての報告、反省は、次号でご紹介します。

 私個人としては、最初の頃イントロに時間をかけすぎた、広報活動が十分ではなかったなど、いろいろと反省点があります。と同時に、この講演をやってよかったという、満足感もあります。それは特にこの体験を通して、各地、各個人、各団体との協力体制を大切にすれば、もっといろいろなことができるという希望がわいたからです。また、話と参加型のアクティビティを混ぜ合わせた講演方法は、様々な世代の関心をひくということもわかりました。

 これからも、こうした機会をつくる努力をすることで、「ストリートチルドレン」を通して、少しでも多くの日本人が「子どもたちに寄りそう」ということをじっくり考える機会をつくることができたら、すばらしいと思います。

                    (くどう りつこ・ジャーナリスト)

 

  大阪・自由空間ミューラシアでの講演を企画して 

 

                              岡田実穂

 今回、講演ツアーに参加させていただけたことに、とても感謝しています。

 昨年末、メキシコのガイドブックを見ていて「ラテンやな〜、ぜひ行ってみたいな〜」と思い、インターネットで「メキシコ」検索をかけました。その時に検索にかかり、偶然入ったHPが、「ストリートチルドレンを考える会」のものでした。

 それまで私は、「ストリートチルドレン」について、その存在自体は知っていましたが、しっかり考えたことはなく、言ってみれば、会のサイトに出会って初めて、彼らに想いを寄せました。

 会のサイトで見た子どもたちの現状に、「自分にもできることはないだろうか」という感情を持ち、まずは工藤さんの著書を読ませていただき、会のメーリングリストに登録させていただきました。そして、「メキシコ行きたいな〜、でもお金ないな〜」などと思っていた矢先に、「講演ツアーの企画者募集」というメールを読み、これならできる!と、企画をさせてもらうことになりました。

 まず、友人たちに声をかけ、スタッフを集めて、本当に一からのスタート。まず学生とフリーターのみのスタッフは、お金がない。でも、「タコスは絶対だ!」「音楽もしよう!」「写真展もしよう!」と、アイデアばかりが沸々と。

 すべてのことが実現できたのは、たくさんの方に協力していただいて、ストリートの子どもたちへの想いを共有することができたからです。本当に感謝しています。

 当日は、私たちの経験不足のために、進行などに問題点がいくつもあり、みなさんにご迷惑おかけしてしまいました。が、それもこれからのための1ステップとしてに、学びにしていこうと思っています。

 講演の中で印象に残っているのは、「子どもは私たちの未来だ!なんてゆうことは絶対にありません。子どもの未来は私たちと同じ、大人です。子どもは今、現在を生きているんです」という言葉でした。「子どもは未来。アカルイ明日」なんて言って、いいように解釈していたけれど、それは「一方的な思い込み。押しつけ」でしかなく、子どもたちが本当に必要とする「支援」を生み出すものでは無いんだ、と。

 これからの自分が進む道がどうなるかはわかりませんが、信念を持って、自らの人生の選択をしていこうと思います。そんなきっかけを、今回の企画でいただけたような気がします。また、その中で、ナチョさんや工藤さんをはじめ、たくさんの方々と出会えたことにも、本当に感謝しています。

 自らの信念に基づいて活動され、そしてそれを楽しんでいらっしゃる姿をみて、本当に次への活力となりました。

 そして、「自分にもできること」が見つかった気がします。

 このイベントを機会に、またどこかで支援の輪が広がっていけばいいな!と思っています。また何らかの形で関わらせていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いします!今回は、本当にありがとうございました!!

                          (おかだ みほ・自由人)

 

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