我が家の雑穀

 お盆が過ぎたのに相変わらずの暑さが続いている。我が家の45年目になる有機菜園では、約20種類の作物が猛暑にも負けず元気に育っている。モチ黍・タカ黍・アマランサスは背丈ぐらいに成長し、大きな穂が風に揺れている。

 去年の収穫は9月中旬。「モチ黍」は畝間に入り一本づつ手で40〜50cmの長さで穂を刈り取り、一握り大の束にして「はざ架け」して2〜3週間天日干し。約10aの刈取り後はそのままロータリーで2度耕起し、全面に麦を播種。翌年5月中旬、すねの高さぐらいに成長したものを堆肥と一緒に2回鋤き込んで緑肥に。毎年マメ科の牧草、タデ科のそばなどをローテーションして連作障害を防いでいる。ここ数年続けている栽培品種は野生に近い短幹種。これは作柄が安定し、収穫が楽。以前度々見舞われた倒伏からも解放された。乾燥後、以前はシートの上で棒で叩いて脱穀し唐箕で選別していたが、数年前に坪刈用の脱穀機を導入して能率1000倍。脱穀後は更に2〜3数日シートに広げて天日乾燥後15キロづつ袋に入れて保管。3年前までは出荷前に数回に分けて近くの精米屋さんに調整してもらっていたが、高齢で廃業してしまったので、一回に10キロぐらい精白出来る還流式精米機を導入。初回は米用のスクリーンのままで大失敗、すべて我が家の鶏の餌に。黍用のスクリーンに変えて成功。出荷ごとに調整することが出来るようになったので好都合。脱穀残渣、調整残渣はすべて平飼いの鶏小屋の敷き料に、彼女たちは更に完全に選別して胃の中に。我が家の生ゴミや農産物残渣の処理も彼女たちの担当。精米所からの米選機下、お豆腐屋さんからオカラなども胃袋の中に。我が家の生ごみはすべて鶏舎と堆肥槽が引き受けてくれるのでゴミ出しがとても楽。調整を終えたモチ黍は500グラム袋に小分けして出荷。全国の有機農産物店、消費者団体、個人などにタカ黍や豆などと一緒に直接お送りしている。

 最初に学んだ医学から脱落、次の土木工学の熱力学の中の講義で聞いたエントロピーの法則<<地球に貯まり続ける排熱で地球は破滅する、近代文明の中でこれは急激に増大を続けている>>に大きな衝撃を受けた。信州大学農学部での定年退職までの30年間、専門のダム工学・構造力学などの研究・教育と併行して、資源の再活用の研究・教育も行ってきた。この柱は有機農業。農業に関する素養も見識も無く議論下手な私、黙々とただ実践有るのみと失敗を重ねる私、既成概念が無く・失敗しても成功するまで挑戦する意欲満々な専攻の学生たちの取り組み、沢山の専門の先生方が励ましと指導をして下さった。ある老教授の「酒井君はうらやましいよ、言いたいことが言えて、したいことが出来て。私たちはやりたくても出来ないんだよ。学会、大学にいる限り。私の出来ることは何でも出し切って応援するからね・・・」の言葉などに甘えに甘えて、出来るだけお金と化石エネルギーの使用を抑え、環境汚染防止に配慮した・・・エントロピーの増大を少しでも少なする資源リサイクルに取り組んできた。世の中はようやくそちらの方に方向を変えつつあるように思う。定年退職後15年がたち、80歳を超えた私、活動は研究室を巣だって行った卒業生にすべてを委ね、家内と二人で我が家の20aの畑で今日も汗を流している。

2013年8月末日記  酒井信一 

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