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No.81
ジェルミーナさんと出会って
ストリートチルドレンを考える会と出会って、早いものでもう3年がたちました。98年2月にカサ・アリアンサ・メヒコから所長のカペジンさんとストリートエデュケーターのアナさんそしてアサエルくんとパオーラさんの4人の方々が遙々メキシコシティから日本へ来られた時のことです。

当時、八王子に住んでいた私たち家族は一晩をアサエルくんとパオーラさんと一緒に賑やかに楽しく過ごしたのでした。
ビデオで観るカサ・アリアンサの子供たちの姿はわりあいと明るく元気そうに見えましたが、ストリートにいる多くの子供たちは辛うじて仲間と一緒であるということによって日々を生きている様子が分かりました。
居場所を失った子供たちのためにストリートエデュケーターは施設の暮らしを教えたり家族とのつながりを探したり説得する大変な仕事をしています。その中から、立ち直る気持ちを起こし生活の場を変えていくストリートチルドレンは全体から見ればほんの少数であるということです。
2001年2月のイベントは「幼きシングルマザーとの出会い」ということでシングルマザーの共同生活の場であるカサ・ダヤから17歳のガブリエラさんとその子どもであるガブリエルくんとスタッフのギジェルミーナさんが来日しました。前回のアナさんと同様、ギジェルミーナさんもメキシコの若い優秀な女性たちのひとりでした。専門の学問を学び、他の多くの職業の中からNGOのスタッフを志すということは個人としての意志の堅さと他者への共感というものがなければ成り立たないと思います。
ギジェルミーナさんも最初の7年間はカサ・アリアンサに勤めていたそうです。しかしそのハードな仕事は「正直、臭くて汚い大変な子どもたちを相手にする疲れるものであった」と率直に語っていました。彼女はいったんこの仕事を辞めて休養するつもりだった、ところがたまたま、カサ・ダヤのママ・ビッキーに出会ってしまい「私のところにこない?」という誘いにOKといってしまったのだそうです。大勢の赤ちゃんと若い母親たちの生活はストリートでの仕事に比べれば安らぎがあったようです。
今回、日本の人々がこのような形で私たちのことを考えていてくれたことを知ってこの仕事をしていて良かったと何度も彼女はいっていました。
家庭や結婚の話題が出た時、彼女は母親がオアハカ出身の先住民で父はスペイン系であることから自分自身も問題を感じており、子供の頃祖母と生活していた経験から「私は結婚は考えていません」と静かに語っていました。
国が違い、年齢が違っていても女性たちは自分の生き方を問わずに生きていくことは出来ません。ストリートに出てこざるをえない子どもたちの状況は政治経済をも含めた大人の男と女の現実が作り出している世界なのです。日本においても食を拒むことで自分の意思表示をしたり、希薄な現実感の中で何故生きなければいけないの?と浮游していく若い女性たちの姿はどこに問題があるのかを我々に探し出せと迫っているようです。
10から15年前に比べてメンタルクリニックに通う人々の数は、ことに若い女性では2から3倍になっていると聞きました。既存の社会の価値観を自分のものと思えないと感じ始めた様々な若者たちが自分の生き方を確定できない不安定さの中で戸惑い、模索しているのが現実ではないでしょうか。
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