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No.80
多くの人々の支えの中で子育てができる社会に会員・佐々木 せかい 二人のガビの笑った姿が今でも目に焼きついています。元気にしているでしょうか。 私は今回福祉学部ということもあり、ベビーシッターの名目で3日間の施設見学(子ども家庭支援センター、コミュニティセンター、妊婦限定の婦人保護施設と母子生活支援施設など)に同行させてもらいました。私自身、婦人保護施設に実習にいった経験があり、他の機関ではどんなことをしているのか興味をもったからです。 ●2月14日 江東区子ども家庭支援センター 久しぶりにあんなに多くの子どもを見た。25名ほどのお母さんとその子どもたちが(普段はもっと多いらしい)メキシコからの来客のため、会を開いてくれ、遊戯や歌、人形劇などを見せてくれた。その後はガブリエラやギジェルミーナへの質問コーナーとなった。 その間私はほとんどガブリエルにくっついていた。メキシコにはないおもちゃなのかガブリエルの目がまん丸。初めはきょとんとしていたガブリエルも、同じ年頃の子と一緒に遊びだし楽しそうにはしゃいでいた。やっぱり子どもには言葉の壁はないようだ。 お母さん方はここにはいつでも訪問していいらしく、高齢の熟練ボランティアの方もいるので、互いに相談、交流ができ、安心して子ども達を遊ばせることができているようだった。そして何よりも設備が整っていることに驚いた。 :移動途中葛西臨海公園で初めて海を見る。2月だというのにガブリエラ・ガブリエルは裸足で海へ。 さくら橋コミュニティセンター もちつきをして出迎えてくれた。ギジェルミーナもガブリエラもおもちをつくのは初めての体験。きなこがとってもおいしいと言っていた。 ここは、私が小さい頃通っていたような学童とは少し異なっていた。この地域は自営業の家庭が多く、夕方も両親が忙しいため、夜7時まで開いている(学童はその前に終わるけれど)。20歳ぐらいまでは誰でもセンターにきていいそうで、いろんな年代の子が一緒に遊んでいた。お兄ちゃんお姉ちゃんが普通にそこにいて遊んだり話したりしてくれる。そういう環境は、子どもたちにとってはとても重要だと思う。「いつの間にかこんなになっちゃって」と館長さん。確かに雑然とはしていたけれど、アットホームな雰囲気が子どもたちにはとても居心地がいいと思ったし、高校生でも気軽に立ち寄れるところがとても羨ましかった。ガブリエラはそこにいた男の子たちのバンド演奏が気に入ったらしく(演奏のできる部屋もある)聴きほれていた。やっぱり17歳。 ●15日 婦人保護施設 ここは出産前後の妊婦さんのための短期滞在型の施設である。ここにいる多くの方が、実際は結婚しておらず、資金もなく家族の援助が受けられないという。日本において多分カサ・ダヤに最も近い施設であると思う。寮長さんは利用者さんのおかれている現状や、その背景について話してくれた。日本にもカサ・ダヤに似た状況があることを知りギジェルミーナは驚いている様子だった。ようやく日本でもドメスティック・バイオレンスがここ10年ぐらいの間に公言できるようになったが、メキシコでは公言できる状態ではなく、またどこでサポートやCareが受けられるかといった情報すらも普通は分からないとギジェルミーナは話していた。日本の法制度やジェンダーについても伺い互いの意見を交換した。 最後に施設内を見学、実は今日が予定日というお腹の大きなお母さんもいた。 ●16日 母子生活支援施設(以前の母子寮) 寮長のお話の後、3人のお母さんも加わり自分がシングルマザーになった体験なども話してくれた。私はベビーシッターのはずが、ガビに振りまわされ続けた・・・(だから話はあまり聞いていない。残念)互いが共感できるところが多かったのか、話は弾んでいたように思う。虐待が本人やその子に与える影響、そういったことへのサポートの難しさを、話を聴きながら実感じた。(今日初めて自分の過去を人に話すんです、と言って、被虐対体験を語ってくれた母親もいた。by工藤) その後施設の部屋や隣接する保育園も見学させてもらう。子どもたちがお遊戯を披露してくれた。子どもたちが踊っているのでガブリエルも真似して踊っていた。 母子にかかわる様々な地域のサービスを一度に見学できたことは私にとってもとてもいい経験になりました。メキシコと日本、国は異なっても、やはり共感できる部分や似通った問題が存在することを認識しました。 日本において福祉施設を利用しなければならない人々の存在はあまり知られていないと思います。実際私も実習に行くまで知りませんでした。ストリートチルドレンの問題が社会全体の問題であるように、それらもまた日本の社会全体の大きな問題であると思います。 ギジェルミーナやガブリエラの目には日本という国はどんな風に映ったのでしょうか。 4つの施設見学で共通して感じたのは、子育てがサービスや人々の支えの中でできることの大切さです。おとなしい(!?)ガブリエルでもてんやわんやの私には、子育てなんて無理なように感じました。相談できる相手やストレス発散できる場が子育てには必要な気がします。多くの人の支えがあってこそ初めて子育ては成り立つのではないでしょうか。 地下鉄で電車を待っている時も、キスをしながらガビを喜ばせるガブリエラの姿からは、カサ・ダヤでの愛のある生活が容易に想像できます。私はまだカサ・ダヤを訪問したことはないので機会があったらぜひ訪問し、ガブリエラやガブリエル、ギジェルミーナに再び会いに行きたいと思っています。こういった交流が今後も続いていって欲しいものです。 (ささき せかい/大学生) |
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