乳児の売買はグアテマラのビッグビジネス

〜貧困国が、子どもの輸出では世界4位〜

☆グアテマラシティー発・・・アンヘラ・ガブリエラ・デ・レオンは幸運だった・前編

2000年6月4日マイアミ・ヘラルド紙記事より

 1997年1月、帝王切開の出産後、薬の治療を続けていたグアテマラの洗濯婦は、娘の国際養子縁組委託を弁護士に承諾することを、(少なくとも夫から)強制された。デ・レオンは、2年間の法廷闘争を経て、娘を取り戻したが、グアテマラでは、彼女のような勝利は希なケースだ。彼女と同様な状況に追い込まれた女性の大半が、文盲で貧しく、無力で諦めてしまうか、社会の仕組みとどうやって戦えばよいのか、わからない。

●幼児強奪は、ここでは非常に一般的なこと

 この貧困国は、残酷なランキングによると、世界の子ども輸出国ランキング4位。国連の最新の調査によると、グアテマラの国際養子縁組のほとんどが不法に行われているという。

 3月31日、ジュネーブの国連人権委員会へ提出され忌まわしいの報告書の中で、国連特別調査員のオフェリア・カルセタス・サントスは、グアテマラの幼児は、「商業取引の対象物」にまで落ちてしまった、と語った。

 彼女の調査結果では、グアテマラで権力を持つ弁護士や医師、裁判官らが、出生届の偽造から、文盲の母親をだましたり、麻薬を使ったりして乳幼児の養子縁組同意書にサインさせられることまで、ありとあらゆることに関わっているという。彼らは、この乳児取引によって得られる多額の利益に突き動かされている。

 養子をもらうアメリカの夫婦は通常約15000ドル支払う、とグアテマラシティの弁護士で国際養子縁組法改革支持者、マリオ・タラセナ・ディアスは言う。そのうち約13000ドルは仲介役の弁護士に、1000ドルは子供を手放しそうな母親を見つけてくる女性に“物件紹介料”として支払われる。残りの1000ドルが、医療費や出産前の母親への承諾料に使われる。

「我々は養子縁組プロセフスに不正があることを気にかけています」

 グアテマラシティのアメリカ大使館スポークスマン、フランク・ネビージェは言う。

「疑わしい情報が入った時には、グアテマラ当局に報告しています。グアテマラ側が養子縁組をより透明なプロセスで、不正なしで行うための法・規律の改正を行うなら、私たちは喜んで協力するつもりです」。

●乳幼児の需要

 グアテマラからの国際養子縁組の全てがこうした不正に関わっているわけではないが、乳児の需要は疑いなく多い。昨年10月から3月の間に、662人の乳幼児が、養子としてアメリカに渡った。1日約4人の割合だ。

 これは、グアテマラがカトリックであるために出産率が高く、極度に貧しいことや養子縁組に関わる法律がゆるやかことにもよるが、とくにグアテマラの乳児が望まれている背景には、近隣のラテンアメリカ諸国が自国の子ども売買スキャンダルを一掃しようと養子縁組改正法を制定したことにある。

 「現在、グアテマラは養子縁組が一番簡単にできる国なんですよ」

東欧やラテンアメリカ、極東の子どもたちの養子縁組を手掛ける非営利組織「ワールド・チャイルド・インターナショナル(在シルバー・スプリングス)」のベアトリス・ウルキディは、そう話す。ほかのラテンアメリカ諸国とくらべると、グアテマラの養子縁組の数は(1999年だけで1003件)ダントツだ。ラテン諸国で唯一、アメリカ国務省の相手国 トップ10に入っているコロンビアでさえ、昨年一年間で231件と、グアテマラに比べれば、わずかだった。

 隣国ホンジュラスでは、1994から9年の間に225件の養子縁組があっただけだった。

これは年45件になる。また、エクアドールでは1998から9年に89件のみだった。

●国の介入

「違い?それは適切な政府の介入と司法の監視の目があるかどうかです」

グアテマラシティ、ユニセフ代表のエリザベス・ギボンズは言った。

 また、NGO「カサ・アリアンサ」のラテンアメリカ地域局長ブルース・ハリスは、「(グアテマラでは、養子縁組は)2千万ドルのビジネスなんですよ」

と語った。「カサ・アリアンサ」は、ニューヨークのコベナント・ハウス(誓約の家)と提携しているストリートチルドレンを支援する非政府組織だ。ハリスはまた、「本来、合法な養子縁組を必要としている(もう少し年上の)少年少女たちは、グアテマラの孤児院で悲しい日々を送っているんです」と話し、 「養父母は、生まれたばかりの乳児を求めている。需要があるんですよ」とくわえた。

 養父母の需要に答える方法は、簡単だ。

 ディアスは言う。

 「犠牲になる母親は、主にグアテマラシティに出稼ぎにやってきて妊娠してしまう、地方出の臆病なティーンエイジャーです。グアテマラでは中絶は違法だし、性教育はほぼ皆無だから、妊娠してしまうと婚外子を連れて故郷に帰ることもできず、途方に暮れるのです。あるいはまた、売春婦や、すでにたくさんの子どもを抱えて奮闘する母親であることもあります」

また、

「母親の大半は、経済的理由で子どもをあきらめますが、その悲劇から利益を得よう

と考える人がいないというわけではありません」

とも言っている。

 つまり、海の母親自身、ときには実父が養子承諾書に進んでサインすることもある。あるいは、実の両親と養父母両方の依頼を受けている弁護士が、すべての手続きを請け負うこともある。一般にグアテマラ政府は、養子希望者側の事務所がつくった書類と、司法任命のソーシャルワーカーのがまとめた子どもの実の両親と養父母に関する

報告を確認するだけである。

 (次号に続く)
(翻訳・佐藤)