種には、その生産過程において、有機種子と有機でない種子という区分が存在しますが、もう一つの区分が存在します。 固定種とF1種、という違いです。

固定種とは、親から子・子から孫へと代々同じ形質が受け継がれている種で、形質(味や形) が 固定されたものが育ちます。昔から続く在来種や伝来種は固定種のタイプです。 固定種は、自然淘汰のみで生まれた種と、人間が母本選抜を行いながら生まれた種が存在します。 現代ではあまり使用されなくなってきたタイプの種です。

一方、急速に普及が進んでいるのがF1種子(Filial 1 hybrid)、と呼ばれる種子で、直訳すれば”1世代交配”となり、一代雑種やハイブリッド種とも呼ばれます。 異なる親を交配させることで、次に生まれた子(第一世代の種)が親とは異なる新たな形質を持つ種子です。 この種子は対立遺伝子の両方を併せ持ち、一定に育つ特徴を持ちます。 異なる特性を持つ親を人為的に掛け合わすことができるので、生産量や食味の改善が進めやすいことから、現代最も多く使用されているタイプの種です。(遺伝子組換処理ではありません。) 

有機種子の多くは、自然と環境を守るという有機栽培の基本的な目的から、固定種がたくさん存在しますが、F1種の有機種子も普及が広がりつつありあります。

●固定種のメリット

1.F1種に比べ、発芽の揃い・生育の揃いが悪いが、それゆえ収穫期がずれるので長期にわたって収穫を楽しめる。

2.味にそれぞれ特長やクセのあるものが多く、野菜本来の独特の味わいが楽しめる。

3.F1種に比べ、環境適応能力が一般に高い。

4.種の自家採取が可能なので、循環型の持続可能な農業が実践できる。 (種を何度も買わずに済む。)


●F1種のメリット

1.発芽の揃い・生育の揃いが良いので市場で出荷しやすい。

2.耐病性の品種など、常に改良されているので、特定の病気を避けやすい。

3.品種改良されているので、一般に味にクセがなく食べやすい。



F1種、固定種、とそれぞれ特徴がありますが、好みに合わせていろいろな野菜作りを楽しんでみるといいですね!



  

※ 参考文献: 有機農業の推進に関する法律, JAS法,  Organic Foods Production Act of 1990,   USDA National Organic Program (NOP) guidelines, CODEX Guidelines GL32-1999, Aguriculture and Rural Development by European Union, EC-regulation 834/2007, 他