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【2011年06月09日】

綿花産業と児童労働

6月12日は児童労働反対世界デーです。
ILOの綿花産業に対する報告がありますので、ご紹介させて頂きます。


綿花


綿花は発展途上国や新興工業諸国の経済において主要な役割を担っている。何百万もの小規模農家にとっての重要な所得源であり、貴重な外貨獲得源である。常に繊維産業の中心であり、世界の織物産品需要の約半分を占めている。世界中の多くの人々に繰り返し着られており、綿は敏感な肌を刺激することもなく、アレルギーを引き起こすこともないので多くの種類の衣服の原料として使われている。国際的に取引されているのは、綿布産品の三分の一である。

綿は幅広い気候条件と農業システムの下で育てられ、それは発展途上国の典型的な小規模農業から大規模で高度に機械化された生産にも及ぶ。主要生産国の上位5カ国は中国、インド、パキスタン、アメリカ合衆国、ウズベキスタンである。

綿は多年生植物であるにも関わらず、一年生植物として扱われ、新しい種をそれぞれの季節ごとに植える。綿の苗は小さな低木で成長すると1.5メートルほどの高さになる。綿花は三つの部分から構成され、綿ほこり、種子、綿毛からなる。綿ほこりは白い繊維で、紡績に使われる。綿ほこりの中に埋め込まれている種子は押しつぶされており、油分は調理油、マーガリン、せっけん、化粧品、医薬品、ゴム、プラスティックに使われ、綿の植物性の油粕はたんぱく質が豊富なため家畜の飼料として使われる。綿毛は種子にくっついている短い毛で包帯、綿棒、自動車用クッション材、レントゲン写真、飼料、エタノール、敷き藁に使用される。

綿耕作は種まき、灌漑、除草作業、殺虫剤の使用、病虫害の予防、綿花の摘み取り、綿繰り機(種子と綿花を分ける)工場への輸送を含む。特にハイブリッド品種の場合、人口受粉や摘み取りは手作業であるため、綿耕作はきわめて労働集約的である。成人労働者は主に畑を掘り起こし、種をまき、土を肥やす。子どもは種まき、条植え、摘み取りのために雇われ、たいていの場合、女子が人口受粉作業を行う。


2001年から2002年において、インドのマハブーナガル県とクルヌール県でハイブリッド綿花を生産している22の農場で486人の子どもを調査した結果、以下のことが明らかになった。

◆労働力の78%が少女である。

◆労働力の88%が6~14歳である。
◆働いている子どもの家族の87%は部族民や被抑圧民であった。(いわゆる「カースト外の人々」や「不可触民」)
◆28%は移民の子どもで10から30の集団で収容施設に住んでいる。彼らは決まった労働時間がなく、朝の5時から夜の6、7時まで畑で働くこともしばしばである。そして畑から戻った後も雇い主の家で働く。
◆子どもの約60%は数年間学校に通って綿花産業で働くために中退した。残りは就学していなかった。

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主な健康・安全上の問題

◆力の必要な反復作業や重く扱いにくい荷物をもち運びことによる筋骨格の損傷
◆殺虫剤の使用と汚染による中毒、長期健康障害
◆硬い繊維や葉を扱うことによる皮膚の炎症
◆無防備な機械類との接触やもつれ合いによるケガ、モーター付き車両との接触事故
◆皮膚がん、熱中症に至る可能性のある高レベルの太陽露出

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インドにおける綿生産の調査では以下のことが明らかになった。

◆綿生産者は通常子どもを長期契約条件に基づいて雇用し、あらかじめ両親に前払いや貸付を行っている。綿農家で働いている320人の子どもを調査した結果、95%が債務労働に服しており、ほとんど奴隷と変わらない状態で親の債務を返済している。
◆1999年から2000年にわたって雇用された子どもの70%は前年と同じ畑で働いている。そのほとんどは債務労働のせいで同じ雇用主の下で働きつづけている。
◆子どもは一日あたり約18ルピー(40米セント)支払われている。これは市場において成人女性よりも33%、成人男性よりも55%少ない。
◆移民の子どもはいくつかの地域で労働力の半分を占め、「labour organizer」と呼ばれる仲介業者によって募集される。子どもは収容所に泊まり、雇用主から食料をもらう。
◆労働時間に関して契約はあいまいなことが多く、地元の子どもは季節に応じて一日9時間から12時間働くのに対して、移民の子どもはそれより4時間多く働かされる。
◆60%の子どもは学校を中退していて、29%は就学していない。
◆商業綿花栽培はインドの殺虫剤総消費量の55%近くを占めており、子どもは長期にわたってエンドスルファン、モノクロトホス、シペルメトリン、メソミルのような有害毒物にふれることになる。

国際労働機関(ILO)報告より
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/ipec/index.htm

Posted by fukunekoya at 18:32

【2010年05月18日】

化学物質過敏症について

化学物質過敏症対策

シックハウスと言う言葉を聴いたことはありますか?
落ち着いたシックな家と言う意味ではありません。病気のシックです。「病気を起す家」と言う意味です。何千万円というローンを組んで、家族で喜び勇んで入居したら、家族が体調を崩し、精神まで狂わされ、イライラ、トゲトゲの家庭になってしまったと言う悲劇です。原因は壁材、床材、天井材で使われる建材が原因です。建築の坪単価を安くするためには安い材料を使わないと成り立ちません。建築会社は少しでも沢山売りたい、そのためには少しでも安く売らなくては競争に勝てないと考えます。無垢の材木を使っていては、とても競争には勝てないのです。

ある時、木を削って出た山のような切り屑を利用できないかと考えた人がいました。ハンバーグのように細かい肉を小麦粉で固めればいいと思いつきました。肉屋さんは最初はステーキ用に高く売り、色が悪くなると、細切れにして少し安く売り、最後はひき肉にして安く売るそうです。この材木屋さんは固める小麦粉の代わりに接着剤を使いました。そうしてできたのがパーチクルボードです。パーチクルとは細かいものという意味です。細かい木屑でできたボード、板と言うことです。この板は安く大量生産に向きました。工場でどんどんできました。集成剤も同じ考え方です。今や家具も建材も無垢の木材を使うと言うのはとても贅沢なこととなってしまいました。多用された接着剤の中のホルマリンから出るホルムアルデヒドの揮発ガスが室内に広がりました。ホルムアルデヒドは有害です。国の決めた室内空気濃度指針値0.08ppmをはるかに越えて室内に充満すれば、おかしくならない方が、おかしいということになってしまいます。

2003年「環境白書」の文章です。

今日、推計で5万種以上の化学物質が流通し、また、わが国において工業用途として届けられるものだけでも毎年300物質程度の新たな化学物質が市場に投入されています。化学物質の開発・普及は20世紀に入って急速に進んだものであることから、人類や生態系にとって、それらの化学物質に長期間暴露されると言う状況は、初めて生じているものです。

「化学物質過敏症」という先進国に特有な現代病が広がっています。日本に既に90万人くらいの人が発症しているそうです。90万人と言うとそれほど多くないと感じますが、例えば日本人の苗字で「中村」と言う姓の人が大体90万人と言われています。そうしてみると結構多いのではないでしょうか。少なくても3,4人は知人にいるものです。

化学物質過敏症の人たちは、重症となると、日常の生活は出来なくなります。何しろ周囲の人の付けている化粧品や整髪料の臭い、タバコ、自動車の車内の臭い、新聞や雑誌のインクの臭い、スーパーマーケットの店内の雑多な臭いなど、ありとあらゆる臭いに体が反応してしまいます。頭痛、眼が痛い、心臓がどきどきする、顔がほてる、関節が痛いなどなど不快な症状になります。仕方なく地方の山間部の空気のきれいなところに転地療養することになります。どうして化学物質に過敏な身体になってしまうのか。もちろん個人差、遺伝子の違いはありますが、日常生活していて、食べるものから、着るものから、事務所や自宅の建物から化学物質はからだに自然に取り込まれてゆきます。コップに入った水を想像してください。少しずつ歳を重ねるうちに、水面(化学物質)は嵩を増して行き、とうとう満杯になります。表面張力で水は膨らんでいます。そこにあとわずか一滴加わった瞬間、コップの外に流れ出します。これが発症です。それからと言うものわずかな化学物質に触れるたびに発症してゆきます。
眼に見えない相手との戦いですから、恐怖感が強くなり、なんでもないものでも反応するようになります。梅干を想像しただけで唾液が出るように、イメージが先行して行きます。

病院でこの体の変調を調べると一般的な病名に当てはまりません。臓器的にはどこも悪くなく、強いて言えば更年期障害か不定愁訴だと診断されてしまいます。保険の適用も受けられず高額な医療費を自費で負担することになります。とんでもない化学物質検知器が身体に備わってしまったということです。その検知精度はとてつもなく高く、10億分の一の濃度と言われています。ナノという単位の世界です。小学校のプールは縦25m、横13m、深さ1mです。325立方メートルの水が入っています。そこに小匙一杯5ccの化学薬品を落として良く混ぜます。1.6ppb(パーツ・パー・ビリオン)の濃度です。その水を化学物質過敏症の人は感じてしまうのです。

神経は血管のようにひとつながりのチューブのようにはなっていません。神経は色んな条件の変化に応じなければならないので途中途中に関所があって問題が先に行かないように作られています。その関所を神経節と呼びます。「腕を伸ばせ」と言う指令が脳から伝えられると片方の節からアセチルコリンという神経伝達物質が出てもう一方の節にある受容体に取り込まれます。腕の筋肉が刺激を受けてグーと腕が伸びるのです。用事が終わったアセチルコリンは元に戻ろうとしますが、そこに化学物質があると戻れなくなります。もう指令を出してはいないのに「腕を伸ばせ、伸ばせ」と筋肉を刺激するのでその誤動作を止める作用とぶつかり、腕に違和感として感じてしまいます。痛みになることもあります。このように人の体の中では、極く微量な化学物質によって心身ともに影響を受けているのです。

化学物質過敏症の原因は59%がシックハウス、21%が農薬、殺虫剤、8%が有機溶剤その他が12%という数字を北里研究所病院臨床環境医学センターの坂部貢先生が発表しています。男女の比率では、圧倒的に多いのは女性です。80%以上中高年女性と言われています。新築住宅に住み始めて一番長く家の中にいるのは主婦と言うことになります。男性で発症するのは職業的に化学薬剤に接する機会が多い人のようです。女性がどうしてこれほど多く発症するのか考えてみると、やはり女性の体質が考えられます。現代のように食べるものが豊富でダイエットしなくては、と言う贅沢な悩みを持つような時代は歴史的には大変珍しいことです。何万年単位で見ると、量的にも栄養的にも貧弱な食べ物に耐えてきて、遺伝子に刻み込まれて来ました。食べるものがない中、女性は出産と言う体力的にきつい仕事をこなしてゆかなければなりませんでした。栄養分を脂肪として蓄える体質になってゆきました。わずかな栄養分を吸収し易い体質になってゆきました。この二つの体質はそのまま化学物質に対しても発揮されてしまいました。化学物質を吸収し、脂肪質に蓄えてしまったのです。多くの化学物質は脂肪質に良く融けるのです。この意味から、特に女性には、化学物質が身体に取り込まれることがないように注意することをお薦めします。加工食品、化学合成の繊維製品、シャンプーにリンス、ヘアーダイ、ドライクリーニング、芳香剤、殺虫剤などに気を付けて、できるだけ安全な天然材料のものを選ぶようにされるのが良いと思います。

NOCホームページより
日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男

Posted by fukunekoya at 22:08


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