パウリーニョさんのこだわりコーヒー

フェアトレードコーヒー

農薬や化学肥料を使わず、100%自家製の堆肥を使用。完熟した実だけを1粒1粒選んで丁寧に手摘み、その後はゆっくりと天日乾燥させます。「何事も急がない」と、手間ひまかけてパウリーニョさんが作るコーヒーは、ブラジル豆らしい力強いコクとマイルドな甘みのバランスが絶妙です。 




カップ・オブ・エクセレンス・ブラジル~コーヒーのスペシャリストたちも認めた匠の技~

フェアトレードコーヒー

パウリーニョさんは大変研究熱心で、常においしいコーヒーを作ることに全力を注いでいます。カップ・オブ・エクセレンス・ブラジルで、何度も上位入賞を果たしています。(上位には何人かが最終的に残りますが、パウリーニョさんのコーヒーは1位受賞者です)

※このコンテストは、コーヒーを輸出する各国で行われるもので、出品された数百の優れたコーヒーから、ほんのわずかのコーヒーにしか与えられない称号です。有機栽培コーヒーという部門があるわけではないため、パウリーニョさんのコーヒーが1位になったとき、有機栽培コーヒーとしては世界で初めてということで大変驚かれました。

有機栽培にこだわる理由はここから始まった。

フェアトレードコーヒー

ブラジルでは大規模型のコーヒー農園が多く、少ない手間で効率よく栽培、加工の管理をするために、農薬や化学肥料を使用した栽培方法が一般的です。

パウリーニョさんは、コーヒーの農薬は刺激が強く毒性があると考えて、従業員の健康を守るためにも、従来農薬を使わない栽培方法を実践していました。一方、コーヒー栽培の他に、小規模農家の農業指導という仕事を長年していましたが、あるとき重い臓器の病気にかかり、10年間は治療が必要と医者に言われました。

仕事で農家を訪問していたとき、たくさんの農薬を吸い込んでいたので、そこから健康を害したのではと思い当たり、自分のコーヒー農園では2000年に農薬も化学肥料も使わない有機栽培に切り替えました。

農園は100%自家製有機堆肥

フェアトレードコーヒー

パウリーニョさんの農園ではすべて農園内のあるもので堆肥を作っています。

家畜(牛やブタなど)の糞や、コーヒーの果肉、牧草の固い部分などを使用します。牧場の隣にある堆肥場では、大量の堆肥を作っていました。堆肥の材料を混ぜ合わせてから、できあがるまでだいたい70日。パウリーニョさんは、「何事も急がない、急がない。ゆっくり仕上げるとよいものができるんだよ」と言っていました。

コーヒーの木の下の土をグワッとすくって見せてくれました。土がふかふかで軟らかく、木の細かい根がもじゃもじゃと勢いよく生えています。これが有機栽培の証しです。

手入れの行き届いた美しい農園

フェアトレードコーヒー

自然の起伏を生かしたパウリーニョさんの農園は、森や泉が点在し、牛・ブタ・鶏の牧場もあります。トゥーカンやジャクーといった大きな鳥、アライグマなどたくさんの動物を見かけます。
農園内には木造の簡易休憩所があり、そこでパウリーニョさんが自分の作ったコーヒーを淹れてくれました。お供は奥様が作ってくれたポビーリョ(ポンジケージョをちょっと大きくしたようなパン)。

休憩所の窓からは、深い緑色の葉をしたコーヒーの木々、牧場で草を食む牛、牧草からこぼれ落ちた種を摘む鶏、目に涼しさを運ぶ泉・・・。

風や木々の擦れる音しかしない静寂な景色の中、時折小鳥のさえずりが大きく響きます。

それは、パウリーニョさんが休憩所の窓際に飼料のおこぼれをまいた小鳥用の餌場を設けているから。「農園では何ひとつ捨てるものはないよ」というパウリーニョさんの、命に対する深い愛を感じました。

完熟した実だけを選んで手摘み~「ストリップ」ではなく「ピックアップ」~

フェアトレードコーヒー

ブラジルのコーヒー農園では大規模で機械による収穫が多い中、パウリーニョさんの農園では手摘みをしています。

手摘みといっても、枝についている実をしごくように一度に収穫してしまう「ストリップ」という方法ではなく、完熟した実だけをひとつひとつ選んで収穫する、手間も技術も必要な「ピックアップ」という方法です。

一枝に、未熟、完熟、熟しすぎと熟度の異なる実がついているため、ピックアップ法では4月から8月の収穫シーズン中、何度も同じ圃場に入って収穫作業をしなければなりません。

完全に熟したコーヒーの実は、きれいな赤色というより、黒みがかってきます。その実を口に入れて、果肉はペッと出して中の種をしゃぶると、これが甘くておいしい! 完熟した実はしっかりとした甘みがあり、それがコーヒーに深いコクを与えます。

ブラジルとコーヒー日陰栽培

フェアトレードコーヒー

ブラジルでは伝統的に日陰栽培というのはほとんど見かけません。
有機栽培だとしても、農園の周囲に木々があり、少しの日陰を作っている程度。そんな中、パウリーニョさんは農園の一角に2005年から1本1本背の高くなる木を自分で植えて、日陰栽培の環境を作っています。

こんなことをする人は他にいないので、周りからは“ロコ(変わり者)”と言われたそうです。

なぜ変わり者と噂されてもそんな事を続けたのか?
「最近は気候がおかしい。年々暑くなり、コーヒーの実が早く熟してしまう。何事もゆっくり、コーヒーの実も徐々に熟していくとおいしいコーヒーになるから」。温暖化対策として始めた日陰栽培は、今、十分に良い結果が出ています。

パウリーニョさんが手招きするので、崖に突き出た岩場にパウリーニョさんと2人で座りました。そこからは、パウリーニョさんが植えた木々が高く成長して、適度な日陰を作っている美しい農園風景が見渡せました。ここがパウリーニョさんの一番のお気に入りの場所だそうです。